| 旅の情報・松山編 |
司馬遼太郎の『坂の上の雲』は日露戦争を題材に取り、明治という時代に必死に生きる日本人の姿を描いた傑作ですが、私はその前半部分、正岡子規、秋山兄弟等の青春時代を描いた部分が好きです。国際社会に日本が参加し、貧しく苦しみながらも、希望を持っていた明治の青春が描かれています。
松山は戦災で焼け、司馬遼太郎は「小型の大阪のようになった」と評しましたが、ゆるりとした言葉使いを耳にし、のんびりとした空気を呼吸していると、今も町のあちこちに明治の青春の残り香が感じられるような気がします。
松山空港から市内への交通機間はバスを利用することになりますが、利用には幾つかのポイントがあります。
(1) 空港バスの路線は 旧道経由、新道経由の二つがある
旧道経由は新道に比べて時間がかります。JR松山駅→大手町駅→松山市駅、さらに大街道→道後温泉まで延びる路線もあります。
新道経由は広いバイバスを通るので、比較的短時間(10〜15分程)で市内に入ります。終点は松山市駅で、途中はJR松山駅しか停車しません。空港バス・市電路線概念図 (2) 大街道〜道後温泉方面は市電に乗りかえる
バスは伊予鉄の松山市駅付近(特に松山市駅〜大街道の間)で渋滞することが多々あります。そこで、空港から大街道〜道後温泉方面へ向かう方には、途中で市電に乗り換えることをお勧めします。(松山市駅に向かうなら、乗り換える必要なないと思います)
バス→市電の乗り換え駅は、JR松山駅前、松山市駅、大手町駅になりますが、市駅前で渋滞することを考えると、JR松山駅か大手町駅で乗り換えた方が良いと思います。(ただし、新道経由のバスは大手町駅には停車しません)さて、ここでさらに考慮していただきたいのは、後述の「市電一日乗車券」の利用です。300円で市電が一日乗り放題という、リーズナブルな券ですが、購入できるのは伊予鉄の駅のみ(=松山中心街では松山市駅、大手町駅、道後温泉駅になります)。市電の中や松山空港、JR松山駅では購入できません。したがって、市内に着いてすぐ一日乗車券を利用した場合は、松山市駅又は大手町駅で購入することになります。(ただし、JR松山駅と大手町駅は歩いても3〜5分程です)
乗換駅 空港バス 備考 JR松山駅前 旧道・新道経由両方とも停車 「市電一日乗車券」は販売していない 大手町駅 旧道経由のみ停車
新道経由は止まらないJR松山駅から徒歩3〜5分 松山市駅 旧道・新道経由両方とも停車 松山市駅直前で渋滞することがある (3) 「い〜カード」と「市電一日乗車券」
い〜カード: 松山空港を出ると、すぐ前がバス乗場になっています。その横にバス乗車券の自販機があります。ここで目的地までのバス乗車券を買う人がほとんどですが、実はこの自販機では伊予鉄の「い〜カード」も売っています。
このプリペイドカードは結構便利で、まず、1000円のカードで1100円分利用できること。さらに、いよ鉄のバス、市電に利用でき、郊外線の切符の購入にも使えます。購入はバス・市電の中、伊予鉄の駅でもできます。
市電一日乗車券: 松山市内の観光にとても便利な市電の一日乗車券は300円とお得になりました。1回の乗車が150円だから、2回乗れば元がとれることになります。頻繁に乗降りする人は、こちらがお得です。ただし、購入できるのは伊予鉄の駅のみ。市電の中では購入できません。松山観光にはこの二つを上手に組み合わせて利用してください。この他、坊ちゃん列車の乗車券(1,000円)を購入すると、その日は市電が乗り放題になります。旅の思い出に一度乗っても良いかも。
購入のポイント 購入場所 い〜カード 市電の利用回数が1日2〜3回程度の場合
郊外線で三津・高浜方面に行く場合空港、バス、市内電車、伊予鉄の駅 市電一日
乗車券市電を頻繁に利用する場合(1日3回以上) 伊予鉄の駅のみ
(=大手町駅、松山市駅、道後温泉駅)
空港・市内電車の中では販売していない両者併用 市電を頻繁に利用し、郊外線も利用する場合 平成13年秋より、夏目漱石の『坊ちゃん』で”マッチ箱のような”と形容された列車が復元され、市電の路線を運行しています。
列車は機関車+車両2両の構成で、ディーゼルエンジンだそうですが、ほのかに黒い煙も出しています。
運行区間は、道後温泉駅−大街道電停−松山市駅前がメインの路線。この他松山市駅−JR松山駅前−古町も時間帯は限られるますが、運行しています。
料金は1,000円ですが、注意しなければならないのは、坊ちゃん列車に乗車できるのは1区間のみということ。道後温泉発は松山市駅前まで運行しますが、乗れるのは途中の大街道までです。後は、普通の市電に乗り換えなければなりません。ただし、当日は通常の市電が乗り放題になり、市内の観光施設の割引券もついてくるので、上手に使えばお徳ではないかと思います。
松山の観光のポイントは大まかに、(1)道後、(2)大街道−松山城−松山市駅の中心街の二つのエリアに分かれると思います。道後と市の中心街、それにJR松山駅は市電で結ばれています。
ここでエリア毎に見所を書いてみます。松山概念図 (1)道後
道後温泉本館
明治以来の堂々とした木造建築。漱石の『坊ちゃん』でも有名です。「神の湯」と「霊の湯」に分かれています。「神の湯・二階」や「霊の湯」では二階で浴衣に着替え休憩することができ、お茶とお菓子も出てきます。休憩室から眺める道後の町もまた結構なものです。
でも、私は地元の人が利用する庶民的な「神の湯・階下」が大好きです。ゆるりとした松山弁を耳にしながら温泉につかり、一句ひねってみませんか?
尚、神の湯・階下では50円で石鹸と貸しタオルのセットが利用できるので、手ぶらでもOKです。
松山市立子規記念博物館
松山出身の最高の有名人といえば、正岡子規。この子規にスポットをあてて、展示がされています。一般的には俳句を復興・革新した人物として有名ですが、一度じっくりと見学し、子規の生涯、漱石との交友などを知るのも良いと思います。きっと、松山という街を理解するのに役立つと思います。
この他、一遍上人の生地で、正岡子規が「色里や十歩離れて秋の風」と詠んだ「宝厳寺」、水軍で名を馳せた河野氏の居城跡「道後公園」などがあります。道後公園には鎌倉時代以降、明治まで使用されていた道後温泉の湯釜があります。
道後MAP 松山中心街MAP (2)松山中心街
お城は後述の「松山城の歩き方」に譲るとして……
大街道は江戸時代から栄えている松山の繁華街。大街道電停より南に延びています。道路を挟んで始まる「銀店街」は途中でL字型に曲がり、伊予鉄道の「松山市駅」に出ます。
子規堂はこの松山市駅の南側、歩いて2〜3分の所にあります。少年時代の子規の家が復元され、直筆の原稿が展示されています。ここで私が興味深く見たのが、子規の書斎。三畳ほどの素朴で小さな部屋ですが、なんとなく、子規が秋山真之等の友人と語っている場面を思い浮かべました。日本三大連立式平山城の一つである、松山城。天守以外の建物も比較的良く残され、焼失した建物等も、木造で復元され、城郭建築の雰囲気を良く感じることができます。
城山の頂上にある天守へは、ロープウェイやリフトでの往復するのが一般的ですが、私のおすすめは、リフトを片道利用し、歩いて二の丸史跡公園へと下りるコースです。
(1) 大街道よりロープウェイ・リフト乗場へ。(徒歩5分)
(2) ロープウェイ又はリフトで山上へ、大手門跡を経て、本丸まで登る。(天守左手の紫竹門の先も櫓や門があるので、良く見てください)
(3) 本丸より大手門跡まで戻り、二の丸史跡庭園へ下る。(間違ってロープウェイの方へ戻らないように)
(4) 二の丸史跡庭園を見学、そのまま下りると三の丸の堀、ここから大街道に戻るか、松山市駅へと向かう。昔は二の丸からの道がメインの登城口だったそうです。そんな目で二の丸付近の石垣を見たら、別の角度で松山城を見ることができるかもしれません。
松山城概念図 三津、梅津寺、高浜……松山の海辺の地区ですが、このあたりには意外に文学に関連した史跡があります。簡単にモデルコースを考えてみます。
松山中心街
(松山市駅又は大手町駅)
↓
(伊予鉄高浜線)
↓
三津駅
三津港・三津の渡し
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港山駅
↓
(伊予鉄高浜線)
↓
梅津寺駅
秋山兄弟の銅像
↓
(伊予鉄高浜線)
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高浜駅
ターナー島
↓
(伊予鉄高浜線)
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松山中心街
松山の海辺と文学の史跡MAP
(1)三津
明治時代は、松山の玄関口として栄えました。今では少し淋しくなっていますが、正岡子規も、秋山兄弟がここから旅立ち、帰省し、夏目漱石も利用しました。その模様は司馬遼太郎の『坂の上の雲』や夏目漱石の『坊ちゃん』にも登場します。そんなことを思い浮かべながら歩くと、思いもひとしおです。
交通は、松山市駅又は大手町から伊予鉄の郊外線(高浜線)に乗車、約10分程。三津駅で下車して三津銀天街を進み、突き当りの広い道を右に曲がると港が見えてきます。
さらに、ここには「三津の渡し」という市営の渡しがあります。この地区に住む方のためのもので、無料です。ということで、観光客の私も少し遠慮しながらでしたが、快く乗せてもらえました。(場所は三津港の一画、右の地図を参照してください)
渡しから降りずに、そのまま三津港に戻る方もいるそうですが、私は対岸から伊予鉄の港山(みなとやま)駅まで歩き、そこから梅津寺へと向かいました。
(2)梅津寺(秋山兄弟の銅像)
正岡子規と共に『坂の上の雲』の主人公である秋山兄弟。その銅像が梅津寺駅近くの小高い丘に立っています。兄・好古は江田島の方向に望み、弟・真之は遥か対馬海峡を望んでいるそうです。
軍人というと厳しいイメージがありますが、陸軍の好古は終生福沢諭吉の平等思想を愛し、華やかな偉勲にもかかわらず、慎ましい生活を送りました。真之は海軍の天才的な作戦家でしたが、戦争にショックを受け出家しようとした、と伝えられます(実際に彼の長男の方は出家したとのことです)。そんな逸話を知ると、秋山兄弟も穏やかで優しい伊予・松山の風土から生まれた人たちであり、子規との共通点があるように思います。
秋山兄弟の銅像は、駅からはほんの3分程。是非訪れてみてください。(3)高浜(ターナー島)
夏目漱石の『坊ちゃん』に登場する、あまりにも有名な島。高浜駅で下車、桟橋の横のあたりから見えてきます。そのまま海沿いに進み、”黒岩”の下あたりからが最も良く見えます。
ターナー島の松は松食い虫の被害で一時期枯れてしまったそうですが、地元の中学校の先生の努力で甦ったそうです。私が見たときは、松は元気に繁っていました。有名な観光地ではないけれど、松山でのお気に入りの場所を紹介します。
(1) 二の丸史跡庭園
上記の「松山城の歩き方」にも出てきますが、発掘・調査された二の丸跡を庭園として整備してあります。建物の遺構は保護のために埋められ、その上に、構造がわかるように、水の流れや柑橘類の庭園が作られています。城山の下、水と緑に囲まれた、爽やかで居心地の良い場所です。歩き疲れて、のんびり休むのに最適。入場料はたったの100円です。
(2) 全日空ホテルの1Fラウンジ
大街道からすぐ近く、市電の通りに面した全日空ホテルのラウンジは、上品な雰囲気の中、吹き抜けの広い天井で、明るく、開放的で城山の緑が目に染みます。松山に来たら、必ずここでお茶を飲むようにしています。
(3) 石手川遊歩道
松山中心街のすぐ南側を流れる石手川には遊歩道が設けられています。観光地めぐりだけでなく、のんびりと川沿いを散策してみるのも旅の思い出になると思います。この川を遡ると、石手寺へと辿りつきます。